「スマホ」と「読書」――『思考力(思索力)、そして対話力』
江東区北砂 個別指導学院TOCO 西大島校 石戸です。(vol.44)
高校生の頃、電車の中でほのぼのとした場面に遭遇したことがありました。
前日にでも欠席したのかもしれない聾唖の学生さんが、同じ聾唖の友人からノートを借りて、「ありがとう」と手話でお礼を表現していたところでした。電車から降りてもいつまでも互いに手を振っていました。
電車の中で、一斉にスマホに目を落としていたり、イヤホンをつけて個の世界に浸っていたりする人が少なくない昨今。
当時、障がいのある方々の咄嗟のやり取りの中にも、(貸す側・借りる側双方の)誠実で純粋な交流の姿の一端を目の当たりにして、心が温かくなったものでした。
友人同士や家族や職場の同僚と電車に乗ることもあるでしょうが、一人の時間であっても読書(良い本との対話)を楽しむことも非常に良いことだと感じています。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学が昨年公表した調査結果によれば、1日の中で読書を「しない(0分)」子供は、10年前の1・5倍に増えたといいます。読書は、情報を得るだけのものではありません。語彙力や読解力はもちろん“自分の頭で考える力”を育む時間でもありましょう。
読書の重要性を強調したのは思想家エマソン。ある年の8月、社会が全体主義傾向を強める危険を懸念していた彼は「アメリカの学者」と題する講演の中で、本を通して広大な意味をくみ取り、思索する「創造的な読書」が大切であると訴えました。
現代は、スマホ1つで欲しい情報が瞬時に手に入ります。便利な世の中ではありますが、活字離れが進み、一人一人の思索力が弱まれば、社会は刺激的で短絡的なものばかりを求める方向に流れるでしょう。本を通して思索を深める人が多くなるほど、人生も社会も豊かになります。
そして、互いに豊かなかかわり(対話)を生身の友人と築き、書物から得て、分かち合う(“コミュニケーション力”を磨いていく)ことで、世界中に共鳴しあうことが可能になっていくと考えています。
人類は、「読書や対話が、人間力とは無関係」と思っていると、そのうち痛い目にあうでしょうね。
語学や手話や点字は人と人とを結びつけるツールです。自分で考え、人と対話していくことこそが最上の幸福でしょう。
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